投稿日:2023.10.16
受け口改善にベロ回しが効くって本当?
皆様、こんにちは🌼
新宿歯科・矯正歯科です!
受け口は、反対咬合、または下顎前突とも呼ばれ、
下顎が上顎よりも前に出ていることから上下の噛み合わせに異常が生じており、
顔の外観や発音などにも悪影響を及ぼすことがある不正咬合です。
今回は、様々な問題を引き起こすこの受け口を改善するために、
ベロ回しがどのような効果をもたらすのかについて解説いたします。
目次
受け口の原因
受け口の原因は多岐にわたり、個人によっても大きく異なります。
まず大きな原因として挙げられるのは、親からの遺伝です。
骨格や歯の構造が子供に遺伝することで、
遺伝的な要因から受け口になることも少なくありません。
この場合、先天的な理由から受け口が発現するため、
予防するのが困難です。
また、遺伝的に何ら問題がない場合でも、
後天的に受け口が発生することがあります。
これは、特に子供や思春期など歯列や顎の成長が未完成の時期に、
口呼吸や舌の癖の習慣が継続的に行われることが原因とされています。
口の周りの筋肉や骨の成長に影響を与える癖がある場合、
下顎の過成長や上顎の劣成長、下顎の前歯が突出することで、
受け口が生じてしまうのです。
ベロ回しとは?
ベロ回しとは、その名の通りベロを口腔内で回すように動かす運動です。
1.唇を閉じて舌を上の前歯に置く
2.そのまま舌で歯列を時計回りになぞって動かしていく
3.時計回りが終わったら、今度は反時計回りに舌を動かしていく
4.時計回りと反時計回りの動きを20〜30回を1セットとして、1日3セットに分けて行う
上記のように舌を動かすことで、ベロ回しは口周りの筋肉が鍛えられ、
ほうれい線や小顔に効果があるとされています。
ベロ回しで受け口は改善される?
結論から言うと、先ほどご説明したベロを回すだけの運動を続けても、
受け口が自然に改善されることはありません。
受け口を治すには、ズレてしまった噛み合わせを含む歯列全体を、
しっかりと動かす必要があるためです。
さらに、ベロ回しを長期にわたって行うことで、
舌の力で歯が内側に倒れてしまい、
歯並びや噛み合わせが悪化してしまう可能性も考えられます。
よって、自力で受け口を治すことは不可能であり、
改善するには歯を正常な位置へと動かす矯正治療が必要不可欠です。
ただし、舌のトレーニング方法によっては、矯正治療後の後戻りや、
お子様の場合には受け口を予防できる可能性があります。
受け口を予防する「口腔筋機能療法」
「MFT」とも呼ばれる口腔筋機能療法は、
口腔周囲の筋機能を改善するトレーニングです。
受け口だけでなく、出っ歯など不正咬合の予防や、
矯正治療をスムーズに進めるために重要な役割を果たします。
歯は、舌、唇、頬などの口腔周囲筋から適度な圧力を受けることで、
そのバランスを保ち綺麗な歯並びを保っています。
しかし、舌や唇などの悪習癖によって筋圧のバランスが崩れてしまうと、
不正咬合や矯正治療後の後戻りを引き起こすことがあります。
これらの問題を引き起こす悪習癖は「口腔習癖」と呼ばれ、
これには以下の癖が当てはまります。
・母指吸引癖:3〜4歳以降も継続する指しゃぶりの癖
・舌突出癖:舌を前歯に押し付ける癖
・口呼吸:口で呼吸をする癖
・吸唇癖:唇を吸う癖
受け口の場合、口で呼吸をする「口呼吸」と、
舌で前歯を押す「舌突出癖」が特に大きな悪影響を及ぼすとされています。
これらの癖は、舌が正常な位置になく、
唇や頬などの筋肉量も低下することから、
筋圧のバランスが崩れてしまうのです。
特に、口呼吸の癖がある場合、舌が下にだらんと下がった「低位舌」と
呼ばれる状態になることが多くあります。
口腔筋機能療法では、主に舌を正しい位置に導き、
口腔周囲の筋圧を整えることで、受け口や矯正治療後の後戻りを防ぐことが可能です。
口腔筋機能療法の効果
舌を正しい位置に導く
先ほどもお話しした通り、舌の位置は受け口や矯正治療後の後戻りを誘発するだけでなく、
その他の歯並びにも影響を与えることがあります。
口腔筋機能療法では、舌の位置を適切に修正することで、
舌圧を正常に戻して後天的な歯列不正を防ぐ助けとなります。
口腔周囲筋の強化
口腔周囲筋が衰えて機能が低下すると歯並びだけでなく、
表情や顔の印象にも悪影響を与えてしまいます。
口腔筋機能療法を行うことで、舌や唇、頬の筋肉が強化されると、
表情が引き締まることから、見た目にも大きなメリットがあると言えるでしょう。
発音の改善
受け口で舌が常に下がっている低位舌の症状が見られる場合、
舌の筋力不足から発音が不明瞭であることも少なくありません。
口腔筋機能療法は、舌や唇の運動機能を向上させ、
これらを正しくコントロールできるようになるため、
正しい発音を獲得するのにも役立つことがあります。
口腔筋機能療法は、受け口の予防や、矯正治療時に並行して行うことで、
スムーズに治療を勧められるに効果的なトレーニングですが、
個々の症例によって効果が異なる場合があります。
よって、担当の歯科医師や歯科衛生士などからのアドバイスを受けながら、
自分に最適な方法を選択することが重要です。
受け口の予防に役立つ舌のトレーニング
舌のトレーニングを行うためには、舌の正しい位置を覚える必要があります。
舌は通常、全体が上顎に吸い付くように位置し、
舌の先端は上の前歯の少し後ろである「スポット」と呼ばれる場所にあります。
この時、舌は前歯には触れません。この状態が安静時に舌があるべき正しい位置になります。
では、これを踏まえて以下のトレーニング方法を見ていきましょう。
ポッピング
・全体を顎に吸い付けて、口を大きく開ける
※この時、舌の先はスポットと呼ばれる前歯の近くにあること、
舌の位置が左右対称であることを確認します。
・吸い上げた舌を下げ、「ぽんっ」といった破裂音がなるのを確認しましょう。
音が小さい場合、舌が上顎にきちんと張り付いていないため意識します。
これをゆっくり20回ほど口返し、舌の正しい位置を覚えながら、
筋力を強化することが可能です。
ポスチャー
・舌の先端をスポットにつけたまま、左右の犬歯のあたりで1本のストローをおきます。
・ストローを噛んで唇を閉じ、そのまま舌の位置をキープするようにします。
最初は5分、その後は10分と少しずつ時間を増やし、
15分維持できるようにトレーニングを行います。
口腔筋機能療法は、個々の歯並びや、
筋機能を専門家が判断して実施するトレーニングプログラムです。
上記は舌の位置を正すための基本的な口腔筋機能療法の一般的な方法ですが、
これらを行う場合には専門家の指導の下で行うことが重要です。
まとめ
世間で広く知られている、ただ舌を動かすだけのベロ回しでは、
受け口を改善することはできません。
しかし、口腔筋機能療法で正しく舌のトレーニングを行い、
筋圧のバランスを整えることで、受け口の発生や治療後の後戻りを予防し、
さらに矯正治療をスムーズに進めていくことが可能です。
口腔筋機能療法は、小児だけでなく大人にも効果的なトレーニングであり、
その利点は多岐にわたります。
トレーニングを通じて、舌の位置や筋力を整えることで、
発音や顔の印象も向上し、口腔健康に対し総合的なメリットをもたらします。
しかしながら、口腔筋機能療法の効果を最大限に発揮するためには、
専門家の指導を受けることが重要です。
間違った方法で続けてしまうと、歯並びの悪化にも繋がりかねません。
口腔筋機能療法による受け口の予防が気になる方は、
まずは矯正歯科とトレーニングに詳しい歯科医に相談し、
担当医師の指導のもと正しく実践してみましょう。
当院ではカウンセリングも承っておりますので、
気になることがございましたら、お気軽にご予約お待ちしております。
ご一読して頂きありがとうございます。